某医療機関での日常

現代医科学恋愛ファンタジーというわけのわからないジャンルの創作文置き場。 小説というカタチを成していないので読むのにいろいろと不親切。たまにR18。 初めての方は「世界観・登場人物紹介」カテゴリを一読の上でお読みください。

恋の作戦会議

【昼休み 医療機関礼英 第3食堂】

ロッソ「ねえ草餅たそ、あれからどうよ?」

鈴「えっと…」

礼英ハイパー鬼ごっこで、9月末に一週間の休暇を

勝ち取った鈴だったが。

鈴「ちょ、ちょっとやりすぎた…////」

ロッソ「何を!?」

ピアノ「どうして!?」

プリモ「どうやって!?」

今日は完が第3食堂に来ていない。

そんな日はいつものメンバーで昼食を取る。

鈴「せめて…お、おでかけしませんかって書けばよかった…」

ロッソ「渡した手紙?」

鈴「見てたの!?///」

ピアノ「なんて書いたの?」

鈴「旅行しませんかって書いちゃった…」

プリモ「ちょwwwwww」

鈴「考えてみたらデートもまだだったぁー!」

うわあああ、と鈴が机に突っ伏してしまう。

鈴「私先走りすぎ!恥ずかしい!!」

ロッソ「とりあえず落ち着け」

ピアノ「そうだよ、友達なんだから旅行くらいするよ!」

プリモ「温泉とかね☆」

鈴「いあああああああああ////////」

浴衣姿の完を想像しただけで食事が喉を通らないのだった。

鈴「もうっ!ダメっ!うさぎさんの顔見られない!」

ロッソ「良かったね今日来なくて」

鈴「来てたらあれは冗談でしたって即刻謝る!」

ピアノ「まあまあそう悲観するでないよ」

鈴「きっと私があんなの渡したから今日来ないんだうああああ!!」

プリモ「考えすぎだって!」

鈴「うわああああんう゛をを゛をを」

ロッソ「とりあえず最終の中畑先生の前でそんな泣きかたしないようにww」

鈴「はい…ぐすっ」

そこへ、

了「あの、大丈夫?兄さんと何かあったの?」

鈴があまりにも取り乱しているので弟がやってきた。

鈴「なっなにも…今はまだ何も…!!」

了「まだ?あ、休みはまだ先だったね」

鈴「ごめんなさいごめんなさい!」

了「なっなに!?え!?」

鈴「あの手紙は冗談ですって伝えてください!うさぎさんに!」

了「え、無理だよ」

鈴「どうしてですか!?」

了「だって、きっと今頃もう旅行のプラン立ててるよ」

鈴「うわああああああああああああああああああああ」

友達に 書かれたことは 真に受ける

たかが草餅 されど友達

(中畑 了 心の短歌)

【昼休み 医療機関礼英 第1食堂】

柏崎「…おい中畑」

完「なに?」

二宮「のんきに旅行雑誌見てる場合か?」

完「旅行しましょうって言われてるんだもん」

矢野「お前さー……」

今日は珍しく最終の若手が全員揃っていた。

完が第3食堂に顔を出さなかったのは、

「全員が揃う場合は全員で食事を取る」という

同期友人ルールに従っただけのことである。

矢野「あのなあ。男女ふたりで旅行なんだよ」

完「うん」

柏崎「男と女なんだぞ!?」

完「? うん」

二宮「やることあンだろ!ヤることが!」

完「観光とか?」

3人「違ぇよバッキャロー!!」

3人が3人ともテーブルを叩いて

立ち上がって完を罵るものだから

マウス「やだー、イジメ?」

ラット「かっこわるーい…中畑先生が優秀だからってー」

普段から蔑視している輩にまで注目されてしまう。

言い訳もできずに立ち尽くしている3人をよそに、

完「そういうんじゃないから…」

座ったまま彼女らのほうを向いた完の視線の温度は氷点下。

完(鬱陶しいから立ち聞きしないでくれないかな。)

クチに出したわけでもないのに、

そそくさと遠くへ逃げていくマウスとラット。

興ざめした3人も、おとなしく席に座る。

柏崎「二宮と矢野はともかく、オレが中畑いじめるとか無いから」

二宮「さりげに抜け駆け宣言するような奴が一番怪しい」

矢野「お前らホモなの?」

完「ねえ、やることって何?」

完以外の3人は食が進まない。

矢野「あのさ、バレンタインデーに本命チョコもらったんだろ?」

完「本命チョコと友チョコってどうやって見分けるの?」

二宮「…渡す時の態度と味」

柏崎「つーか直感でわかれそのくらい…」

完「そんなこと言われたって、初めてもらったのに」

柏崎「えっ」

二宮「えっ」

矢野「えっ」

完「えっ」

一瞬、テーブルの時間が止まる。

完「えっ、何?」

柏崎「初めてって…まさか人生初とか言わないよな?」

完「母親を除いて人生初だけど」

二宮「カーチャンはノーカウントだろww」

完「そうなの?それじゃ草餅さんが人生で初めてだよ」

矢野「嘘だろ…!?」

完「友チョコだか本命チョコだかわからないけど」

3人「本命だっつーの!」

今度は立ち上がらなかった。

完「もらった本人じゃないのにどうしてわかるの?」

矢野「いいか中畑、ここ礼英は虚礼廃止」

二宮「義理チョコも禁止」

柏崎「女から男への友チョコは当然義理チョコ扱い」

完「………よって本命チョコである、と…?」

まるで数学において証明するかのように。

柏崎「つまりそのなんだ、草餅さんにとっては中畑は恋愛対象なんだよ」

完「え、だって友達になりたいって」

二宮「馬鹿かww初対面でいきなり恋人になってくださいって言う奴がいるかよ」

矢野「そんなのマウスとラットだけでいいwww」

完「友達…だと思ってたのに」

完が旅行雑誌を閉じて、うつむいた。

二宮「…まさか、友達扱いで失礼なこと言ってないだろうな?」

完「言ってないけど…」

矢野「他に好きな女がいるとか?」

完「いないけど…」

柏崎「どうした?草餅さんじゃダメか?」

完「ダメじゃない、けど、……」

完が伏せた顔を元に戻した時。

3人は今までに一度も見たことのない表情を見た。

完「僕は…どうすればいいの……?」