某医療機関での日常

現代医科学恋愛ファンタジーというわけのわからないジャンルの創作文置き場。 小説というカタチを成していないので読むのにいろいろと不親切。たまにR18。 初めての方は「世界観・登場人物紹介」カテゴリを一読の上でお読みください。

大遅刻のハッピーホワイトデー

(昼食時 某医療関礼英 第3食堂)

ロッソ「あ、青木先生おつかれさまd」

青木「ごめん!!!!」

青木は土下座した!!

ロッソ「ちょ、ちょっと、頭あげてください」

情技の面々は何事かと立ち止まり、ひとだかりができはじめていた。

二宮「ちょっとここ通りますよ~~」

その人垣をかきわけて二宮が青木とロッソの元へ向かう。

二宮「ロッソさん、これ…オレの気持ちです。

ロッソさんもやっているというレジンの手作りブローチです。

納得のいく形になるまでにこんなに時間がかかってしまいましたが…」

ロッソ「お断りします」

二宮「せめて見るだけ!」

そう言って、二宮は紙の写真を取り出した。

そこには、桜をモチーフにしたころんとかわいらしいブローチが写っていた。

プロが作ったのかと思うほど、よくできている。

だが、ロッソはちらっと見ただけでこう言った。

ロッソ「確かによくできていますが、これは受け取れません」

会話は人垣の中で行われていた。

青木「ロッソ、とりあえずテーブルについて昼飯食おう」

ロッソ「そうですね!土下座の理由も気になりますし!」

二宮「待ったあああああ!!」

ロッソ「二宮先生の席、ありませんから」

情技の若手メンバーの座っている席のある長テーブルは、

青木とロッソの席を残してすべて埋まっている。

新型ウイルスのワクチンの接種は職員全員が済ませているので

多少密になってもかまわないようだ。

もちろんワクチンは礼英が独自に開発したものである。

二宮「お前そこどけよ」

二宮がドスの効いた声で了に話しかける。

ピアノ「しつこい男は嫌われますよ~~」

了「そうですよ、ロッソもはっきりと断ってるじゃないですか」

二宮「ぐぐ……」

プリモ「私たちの大切な親友に、これ以上しつこくしないでください」

二宮の完全敗北だった。

(3月14日 昼食時 某医療機関礼英 最終医科学研究所 314号室)

患者は、矢野の訪問を待ち焦がれていた。

外見的には年齢不詳のかわいらしい女性で、

もちろんバレンタインデーに通販でオーダーメイドチョコレートを

贈ったばかりだった。

名を藤井礼子(ふじいれいこ)という。

彼女は腎臓の難病をわずらっていた。

人工透析も最初は毎日行っていた。

今は週に1回で済んでいるが、その体で

矢野がアルトサックスで登場するイベントには

毎回欠かさず訪れ、菓子折りを渡し、

趣味の話に花を咲かせることもたびたびあった。

礼子は矢野の演奏が終わると必ず「ブラボー!!」と叫び

席も最前列で観覧していたので矢野も目線を送っていた。

相思相愛。

そんな言葉がぴったりの二人だった。

矢野「失礼します」

礼子「矢野先生…お会いできてうれしいです!!」

矢野「私も嬉しいです。その後お加減はいかがですか?」

礼子「透析した日も元気いっぱいです!」

矢野「そうですか、それはよかったです。

   それで今日は藤井さんに渡したい物があるのですが…」

礼子「礼子でいいです」

矢野「れ…礼子さん…これ…私の気持ちです。受け取ってください」

矢野「うわあ…!!!!」

それは飴細工でできた非常に精工な花束だった。

しかも、全部赤い薔薇。100本ある。

矢野「自分では到底作れないので、京都の職人に頼み込んで

なんとか1か月で作ってもらいました」

礼子「こんな立派なものを…本当にいいんですか?

   私ひとりじゃ食べきれなさそうなので、一緒に食べたいです…」

矢野「食後のデザートに二人でいただきましょう。

   食事介助もさせていただきますよ」

礼子「もう全然必要ありません!でも、一回だけあーんってして欲しいです…」

今日の昼食は八宝菜とキムチ、それに中華スープに杏仁豆腐だった。

矢野「退院したら、ふたりでもっと美味しいお店に行きましょうね」

礼子「矢野先生…英一先生…私、一生英一先生のお食事作りたいです…」

矢野「ふ…れ、礼子さん…」

矢野の名札には、「矢野 英一(Eiichi Yano)とある。

礼子「私の方がさきに逝ってしまうのは百も承知なのですが、

   もう子供も産めないからだなのですが、それでも、それでも…!!」

矢野「え、礼子さんって失礼ながらおいくつなんですか…?」

礼子「今年で53歳になります」

矢野「ええ~~~!!!30代だと思ってましたよ!!」

礼子「童顔ですので…」

矢野「シミシワひとつないじゃないですか!!」

礼子「特にお手入れしなくても大丈夫だったんですよね

   でも老後はさすがに来ると思います

   こんな私ですが…将来につなげられませんが…

   生涯をともにしてくれませんか?」

矢野「礼英では不妊治療もかなり進んでいます。

   実際月経が再開して、出産された方もいます。

   礼子さん…ぜひ、私の、僕の子供をたくさん産んでください」

礼子「先生…!!!」

礼子は立ち上がり、矢野に抱き着いた。

(4月14日 某医療機関礼英 第3食堂)

二宮「覚えてろよ~!!」

小悪党にありがちな捨て台詞を残し、二宮は去っていった。

青木「あの…こ、これ…自由樹脂でボールペン作ったんだ…」

青木から細長い包みが、ロッソに渡された。

青木「オレもレジンやりたかったんだけど、どうしてもうまく

   いかなくて…そのボールペンもオレの握り癖がついてるし…」

ロッソ「これでいつも一緒ですね!開けてもいいですか?」

青木「どうぞ…」

ボールペンは、ロックバンドを彷彿とさせる蛍光色、ブラック、その他

カラフルなマーブル模様で作られていた。

青木「替え芯は使えないから使い捨てになっちゃうけど…

   切れたらすぐにまた新しいのを作るから

   今度は…できればロッソの握りくせを付けて…」

ロッソ「青木先生のボールペンも一生持ってますよ!!」

青木「ロッソ…!!」

青木は感涙した!!

了「青木、ラーメン早く食べないと伸びるぞ」

青木「伸びたラーメンもけっこうイケるよ」

いきなり通常運転なのである。

長瀬「そういえばプリモ、今度プリモのイテボ歌ってみたで

   踊ってみた動画作っていい?」

実は作成済みであった。

プリモ「えー!!是非是非!!まともなのと、珍妙奇妙奇天烈踊りと

    両方作って欲しいです!!」

長瀬「実はもう作ってあるんだなこれが。見る?」

長瀬はタブレットを取り出すと、プリモのイテボ歌ってみたに合わせた

まともなダンスをポコポコ動画で再生した。

プリモ「えっこれって投稿3年前じゃん!!あ、すいません敬語わすれました」

長瀬「本人に無断でスマソwwどうしても合わせたかったからさ」

プリモ「ギャー長瀬先生超かっこいいダンス!!!ありがとうございます!!」

長瀬「これをオレからのホワイトデーの贈り物にしていいかな?」

プリモ「え?」

ピアノ「ということは…」

長瀬「結婚を前提にお付き合いしてください」

プリモ「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!」

プリモは赤面爆発してしまった!!!

プリモ「不束者ですが…よろしく…お願い…いたします…!!!」

長瀬「こちらこそ!!いや~、OKもらえるとは思わなかった」

マカポー「立て続けになンだが…ピアノ、ちょっとこれをlook」

マカポーは人物画の色紙をピアノに見せた。

リアルタッチで描かれたそれは少し美化され、

ピアノの目に眩しく映った。

ピアノ「これ……私………マカポー先生が描いたんですか!?」

マカポー「I love you」

ピアノ「え………」

マカポー「あとこれピアノが普段から使ってる画材ダ

ペン先が万年筆になっている漫画用ペンと

いつも使っているサイズとメーカーの原稿用紙と

消しゴムと0.9mmのシャーペンの芯と」

ピアノ「ちょちょちょちょま!!話についていけません!!」

マカポー「I love you 君の作品と君をいつも見ていた…

ツイッパーもフォローしていた…だが吾輩は照れが先に立って

コメントできずにいつもリツイッパーとお気に入りばかり…」

ピアノ「そんなのいいんですよお!っていうかフォローされてませんよ?」

マカポー「裏アカウントナリ…ピアノ専用の…ピアノ専用絵リストと化した

コレクションアカウントナリよ…pixiの方も裏アカウント作って

ピアノの絵や漫画ばかりお気に入りに入れてたナリ…

通販は名前バレしてしまうからできなんだ…だからピアノの本、

一冊も持ってな…うう…っ oh my god !!!」

マカポーは机に突っ伏してむせび泣いた。

ピアノ「大丈夫です!!原稿データは既刊全部残ってます!!

在庫切れちゃった本は再版すればいいだけです!!」

マカポー「oh piano ...........」

ピアノ「そこまで私の作品と…その…私を愛していただけて光栄です

    こんな私でよければこれからもよろしくお願いします」

マカポーは狂喜乱舞した!!

マカポー「yeeeeeeees!!yes!yes!ok bravo!!」

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かくして礼英のホワイトデーは幕を閉じた。

了がベッドで泣かされたのはまた別のお話…

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(夜 某医療機関礼英 独身寮 深夜)

桜崎花音(さくらざきかのん)「決めた。二宮先生に顔面整形してもらおう。

               手術で脂肪付けてもらって太ろう。」

情技の看護師である彼女は、二宮のことが好きで好きでたまらなかった。

同時に性欲も旺盛で、日々二宮との性行為をオカズに自慰行為にふけっていた。

しかし、体型はかなりの痩せっぽちで、顔ははっきり言ってブスだった。

愛嬌のある不細工なので、嫌われはしなかったのだが…

彼女はいつも二宮のことを見ていた。

そして知った。二宮がふっくらした女性が好みだということを。

しかし自分は小食で、なかなか太れない。

近い将来、彼女は二宮に対して入院措置を申し込むことになる…

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