それぞれのハートブレイク 二宮編
二宮「じゃあ、別れよっか」
__「えっ」
二宮「だってもうそれしかないじゃん」
【国立某医科大学院 カフェテリア】
大学院生・二宮のセリフは人目を全くはばからなかった。
対面に座っていた彼女はうろたえる。
__「待ってよ…もうちょっと何かないの…?」
二宮「何かって、たとえば?」
__「うちの系列の病院に来るとか、礼英に来てくれとか…」
二宮「オレが組織に縛られるの大嫌いだって知ってるでしょ」
__「礼英だって、立派な組織じゃない…」
二宮「違うね。__さんちの病院みたいに体制や法律に縛られないし」
__「どうしてそんな危ないところ行くの…?」
二宮「男のロマン☆」
__「茶化さないで!」
通りかかった学生が、何事かと振り返るくらいには
彼女の声は大きかった。
二宮「__んちは反礼英、オレは礼英志望。オレは進路を変える気はないし、__だってそうでしょ」
__「だからって…なんでそんな簡単に「じゃあ、別れよっか」って…」
二宮「少なくともオレは、お互いが「組織」に阻まれても__と一緒にいる覚悟でいたんだけどね」
__「えっ…」
二宮「__にはそこまでの覚悟がなかったってことが分かったから、もういいよ。別れよっか」
覆水盆に返らず。
完全論破だった。
__「待ってよ…」
二宮「ああ、そうだ」
__「え、なに?」
二宮「最後に一回だけ、えっちしよ」
__「////////////」
二宮「さっきの会話であんたの中身には 完 全 に 愛想が尽きたけど、そのカラダ だけ はオレの好み超どストライクのままだから」
__「ちょ、ちょっと、ここドコだと思ってるの!?ていうかさっきから何言ってるの!?」
二宮「あっれ?同じ学校なンだから知能指数同じだと思ってたんだけどな。じゃあもう一回言おっか。最後に一発ヤらせて」
__「……最低!!」
二宮「はいはい。ああ、それと最後にあとひとつだけ」
__「…なによ……」
二宮「少なくとも__にとってオレ以上に「イイ」男なんてそうそういないから。もしそんなのつかまえられたら即刻結婚迫りなよ」
__「どこまで自信過剰なのよ…///」
二宮「んー?どうしたの顔赤くして。ベッドの上では超かわいかったオレの 元彼女 さん?」
さよならバイバイまた明日。
そう言って席を立ち、去っていく二宮。
翌日には平然と「他人」として、顔を合わせるのだろう。
彼がそういうことのできる人間だということは、よくわかっていた。
彼女は後悔した。
本当に最後に一度、抱かれておけばよかったと。