某医療機関での日常

現代医科学恋愛ファンタジーというわけのわからないジャンルの創作文置き場。 小説というカタチを成していないので読むのにいろいろと不親切。たまにR18。 初めての方は「世界観・登場人物紹介」カテゴリを一読の上でお読みください。

礼英ホワイトデー2012

【昼休み 医療機関礼英 第3食堂】

席順は以下のとおり。

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了とその同僚やピアノ・プリモ・ロッソは

離れた席でまとまり、2人の様子を見守っている。

完「まる一ヶ月ここに来られなくてすみませんでした」

鈴「い、いえ…最終はお忙しいでしょうし…」

完「出張がなければ来られたんですが」

鈴「どちらに出張されていたんですか?」

完「…イギリスとアメリカです」

完の表情が若干憂鬱になった。

鈴「あの…何かトラブルとかあったんですか…?」

心配になった鈴が、完に問いかけた。

完「仕事は順調でしたが、食生活がちょっと…」

鈴「ああ…イギリスとアメリカは味音痴で有名ですしね」

完「味音痴ですか、もうそれでいいと思います」

完は壊滅的な「音痴」だが、味覚は研ぎすまされている。

「味音痴」という言葉は完の視点では両国にぴったりだった。

完「今日はこれを渡しに来ました」

そう言って完は上品なプリントの施された紙袋を鈴に差し出した。

鈴「これは…ええと」

完「先月頂いたケーキのお返しです。今日はホワイトデーなので」

鈴「あ…」

実は鈴は返礼を期待していなかった。

渡したケーキを受け取ってもらえただけで十分だった。

鈴「あ…あの…あ…ありがとうございます…//////」

離れた席で。

ロッソ「草餅たそヤカン乙www」

青木「ぶwwww耳まで真っ赤ワロタwwww」

了「見えないオレ涙目」

マカポー「同じくナミダメでゴザンス」

長瀬「カシワギサンまじでwwうっかり萌えそうだww」

ピアノ「ダメですよ長瀬先生www」

プリモ「最終中畑先生、ああ見えて独占欲すごそうww」

完「…あの///」

鈴「は、はい////」

鈴があまりにも赤面するので、完が見ていられなくなった。

完「い、一切卑猥な物は入っておりませんので////」

鈴「ちょ、ちがっ////そんなこと考えてません/////」

【昼休み 医療機関礼英 第1食堂】

二宮「あーあ」

柏崎「どうした」

二宮「中畑のヤツ今頃リア充してんだろーなー」

柏崎「矢野と一緒に出張したのに中畑だけ先に帰ってきてるしな」

二宮「あーセックスしてぇ」

柏崎「ぶっ!?げっほげほげほ!」

二宮「なンだよむせンなよいいトシこいて」

柏崎「唐突すぎンだよ!」

二宮「オレも婚活(笑)とかしてみよっかなー」

柏崎「どうやって?つーか、かっこわらいってつけんなよ」

二宮「だって婚活☆とか言ってるとマウスとラットが」

柏崎「あーそれ以上言うなメシがまずくなるから」

【夜 医療機関礼英 職員寮 鈴の部屋】

鈴(うさぎさんからのプレゼント、なんだろう…)

紙袋は大きさに反して軽い。

鈴は中身を取り出し、包装を解いてみた。

鈴(わあ…!)

中身は様々な香味のフレーバーティーの詰め合わせだった。

メッセージカードが添えられている。

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草餅さんへ

バレンタインデーには美味しいケーキをありがとうございました。

僕もお菓子をお返ししようかと思ったのですが、

どう考えても手作りは無理なのでこうなりました。

お好きなお菓子と一緒に召し上がってください。

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カードの右下に、緑色で塗りつぶされた円があった。

その下にとても小さい字で、

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草餅を描こうと思ったのですが難しいです

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と、書いてある。

鈴(私が絵を描いたから、うさぎさんも描いてくれたんだ…)

どう見ても単なる塗りつぶされた緑色の円。

しかし、それは鈴にとっては心温まるプレゼントだった。

贈られたフレーバーティーティーバッグ式で、

手軽に飲むことができる。

完の心遣いが現れていた。

しかし。

鈴(…もったいなくて飲めない…)

と、箱を見つめる鈴がそこにいた。

ハッピーホワイトデー。