某医療機関での日常

現代医科学恋愛ファンタジーというわけのわからないジャンルの創作文置き場。 小説というカタチを成していないので読むのにいろいろと不親切。たまにR18。 初めての方は「世界観・登場人物紹介」カテゴリを一読の上でお読みください。

最終VS情技 中畑兄弟カップリング論争 第2回戦

【昼休み 医療機関礼英 第3食堂】

今回の席順は以下のとおりだった。

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完 ロッソ

鈴 了

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青木・長瀬・マカポーは、いつもの席で4人をウォッチングしていた。

ピアノとプリモも同様である。

完「そうそう、この前の質問の答え、出たから」

そう言って、完は胸ポケットから例の名刺を取り出し、鈴に渡した。

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医療法人礼英会

国際医療福祉機関礼英

最終医科学研究所

脳外科医 精神科医

中畑 完

Osamu Nakahata

0*0-1001-92*6

osamu_nakahata_1107@dokozono.**.jp

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鈴「…………」

完「すみません、答えは裏です」

鈴「えっ」

鈴はあわてて名刺を裏返し、そこに書かれている文章を音読する。

鈴「僕が草餅さんと友達になったら僕が受で了が攻…」

了「ぶっ」

ロッソ「!?」

鈴「友達にならなかったら、僕が攻で了が受…??」

了「げっほげほげほ!!」

ロッソ「なにがどうしてそうなったんですか…」

完「同期の友達に訊いたらこうなった」

了「いったいなんて言って訊いたのさ…?」

完「普通に、僕と弟ではどっちが攻で受なの?って」

鈴「そ、それでこの答えなんですか…」

了「兄さんの同期の人たち、どういう発想なんだよ…」

完「さあ…なんだか「情技に女性の友達ができた」って言ったらやたらにやさぐれてたけど」

鈴「……………」

ロッソ「あの…ホモなんですか…?」

了「どうしてそうなるwwwww」

完「別にホモでもないけど、友達でもなかったんだよね」

了「え?」

完「みんなはどうか知らないけど、僕は同期の同僚としか見てなかった…って言ったらみんなひねくれちゃって」

3人は「なるほど」と頷いたが、完には分からなかった。

完「どうしてみんな、あんなにふてくされてたのか…」

了「兄さん…けっこう長い間、その人たちと一緒にお昼食べてるんでしょ?」

完「うん…そう言えばそうだけど」

了「それで「ただの同期の同僚」って言われちゃさすがにやさぐれるよ…」

完「そうなの?じゃあ、了とあっちにいる人たちは何?」

完が「あっち」と言いながら視線を送ったのは

青木・長瀬・マカポーが座っている席である。

和気あいあいと食事をとっているようだ。

了「友達というか仲間というか」

ロッソ「中畑先生総受鉄板ですよね」

鈴「wwwww」

了「それを言わないでぇ!!」

完「ソーウケ…?」

鈴「あの3人の誰が相手でも、中畑先生は受ということです…w」

了「わかりやすく説明しなくてもいいっ!」

完「そうなんだ…」

了「兄さんもそこで納得しないでwwww」

完は白身魚のソテーを咀嚼しながら、了がその3人を相手に「受けさせられる」のを想像していた。

完「…長瀬くんとマカポーくんはともかく、青木くんはどうなんだろう」

了「だからwww真面目に考えなくていいからそこwww」

ロッソ「青木先生は場合によってリバ、マカポー先生は撮影係という解釈で通ってます」

了「なwwwんぞwwww初めて聞いたwww」

完「リバ…?」

鈴「リバーシブルです。時と場合によって受にも攻にもなる人たちのことを言います」

完「そうなんだ…」

了「兄さん、あくまでも仮想世界の話だからね!?」

完「現実はどうなの?」

了「普通の男友達です。たまにセクハラされる以外はえっちぃことはしません」

鈴「たまにセクハラされてる時点で「普通」からはちょっとズレてませんか…w」

ロッソ「しかも時々室長まで乱入しますしね」

完「情技での了の待遇ってちょっとどうなの…?」

了「…微妙」

了はそれだけ言うと、鶏の唐揚げを頬張る。

鈴「あの、メガネ先生…」

完「僕は今日は眼鏡をかけていません。そもそもかけているほうが希です。なのでできれば違うニックネームをつけてもらえると…」

鈴「あ…そ、そうですよね、えっと…その、う…」

ロッソ「う?」

鈴「…うさぎ…さん……」

了「ブフォwwwwwww」

了が派手に吹き出した。

完「うさぎ…?」

鈴「あっあの…哺乳類じゃなくて、和菓子でうさぎのカタチしてるのありますよね…?」

完「ありますね」

鈴「そっちのうさぎさんです…」

了「ちょwwwww」

ロッソ「二人仲良く優さんに食べられればいいと思う」

了「滅相もないこと言わないでwwwww」

完「草餅と、和菓子のうさぎ…」

ロッソ「しかもうさぎ先生受、中畑先生攻」

了「だから話をシッチャカメッチャカにしないでww」

完「う、うーん、えーと…」

了「兄さんがついていけなくなるからwww」

完は話についていけず、了は食事が進まない。

食卓は中畑兄弟にとって過酷だった。

一方そのころ。

4人を見守っていた男女合わせて5人は、

いつの間にか同じテーブルを囲んでいた。

プリモ「荒ぶるロッソwww」

マカポー「いいぞもっとヤレwww」

完は結論を下した。

完「僕は草餅さんと友達になりたいので、了を相手に受で、うさぎでいいです」

鈴「えっあのwww」

ロッソ「じゃあ優さん攻で私受でいいです」

了「じゃあって何!?優はオレの嫁ー!!」

ロッソ「だって中畑先生はうさぎ先生の攻じゃないですか。だったら優しゃんはワタスが…」

了「待て待て待てぇぇぇぇい!!www」

鈴「ロッソ待ってwww」

完「…はっ、そ、そうだよ了。いくらなんでも僕とどうこうしたいからって離婚はまずいよ」

了「どうこうしないし離婚しないwwww」

ロッソの半分本気の混ざった冗談のせいで

食卓はカオス状態になっていた。

ロッソ「中畑先生…どうしてワタスと優さんが出会う前に優さんと結婚されたンですか…」

ロッソが鶏の唐揚げに箸を突き刺した。

了「…嫁とは大学1年の時に事実上婚約しますた」

鈴「早っ……」

完「事実上?」

了「実際に結納とかやったのは卒業した後だから」

ロッソ「優さん…優しゃん…うう」

ロッソは箸で突き刺した唐揚げを勢いよくクチに放り込む。

完「…優ちゃんは本当に女の人に人気があるよね」

了「男のオレより女の子にモテるとかなんなの」

鈴「カッコイイですよね」

完「そうだね…」

鈴(あっ…)

鈴の正面に座っている完が少し自嘲気味な表情をした。

鈴「うっ、うさぎさん!」

完「はい」

完の表情が瞬時に元に戻る。

鈴「あの…わ、私とお友達になったところで中畑先生とどうのこうのっていうのは全部架空のお話ですので…」

了「フィクションです」

ロッソ「ファンタジーです」

完「当たり前です。せっかく草餅さんと友達になったのに、どうして僕が了とどうこうならなきゃいけないんですか」

鈴「えっ………//」

了「お……」

ロッソ「oh……」

完「? どうかした?」

鈴「いっ、いえ、そ、そう、ですよね…////」

了とロッソが顔を見合わせて、ニヤリと笑った。

了「じゃあ、次からはふたりで食べてよ」

鈴「えっ//////」

ロッソ「ワタスは中畑先生と決着をつける…」

了「もうついてるからwww」

完「僕は別に構わないけど」

鈴「えっ…//////」

離れた席で。

青木「さっきから柏木さんが赤面爆発な件」

ピアノ「イイヨイイヨー!」

プリモ「それで結局中畑先生兄弟はどっちが攻で受なのかな」

長瀬「なんかこうやって見てるとどっちも受キャラに見える」

マカポー「Yes」

長瀬「よっしゃ、いっちょ「答え」聞きに行ってみるか」

長瀬が立ち上がり、中畑兄弟を含む4人が座っているテーブルに向かった。

長瀬「おーい鈴」

鈴「あ、長瀬先生」

完(鈴…?)

柏木 鈴。

それが「草餅」と名付けた完の友人のフルネームである。

長瀬「中畑兄弟は結局どっちがどっち?」

鈴「ええと…」

完「長瀬くんだっけ?」

長瀬「はい、……!?」

完に呼ばれてその顔を見た長瀬は凍り付いた。

冷たい光を放つ瞳は貫くように長瀬を見据えている。

完「僕の友人の柏木さんを、勝手に下の名前で呼ばないでもらえる?」

鈴(えっ////////////)

ロッソ(おうふ………)

了(うわぁお………)

長瀬は慌てて鈴の名札を確認し、ぎこちなく呼びかけた。

長瀬「か、カシワギサン、中畑先生たちはどっちがどうなったの?」

鈴「えーと…私がう…最終の中畑先生と友達になったことで、情技の中畑先生が攻で、最終の中畑先生が受になったそうです…」

長瀬「なんぞ!?」

完「僕の同僚に訊いたらそうなったんだよ」

完の口調は穏やかだったが、長瀬を見る瞳は冷徹なままだ。

長瀬「そ、そうなんですか…し、失礼しました」

長瀬はそそくさとその場を去った。

了「に、兄さん…あの…ちょっと言いにくいんだけどさ…」

完「何?」

了「柏木さんは、超有名なゲームのヒロインと下の名前が同じで、そのゲームやったことのある男からはヘンな意味じゃなく普通に下の名前で呼ばれてるんだ…」

完「えっ……」

ロッソ「苗字忘れてる先生もいるくらいで…」

完「そうなの…?それじゃ、長瀬くん以外にも…」

了「兄さんより年上の人もいるよ…」

完「んん……………」

席に戻ってきた長瀬は顔色が悪い。

青木「どうしたし?」

マカポー「衝撃の事実を聞かされたノカ?」

長瀬「お兄さんマジ怖ぇ……」

ピアノ「まさか兄x弟のハードSM!?」

プリモ「「兄さん許して…」とか…」

長瀬「そうじゃなくて、お兄さんの前でり…カシワギサンを下の名前で呼ばないほうがいい」

マカポー「今更無茶言うなヨ」

青木「長瀬までカシワギサンとか言ってるし、どうしたの?」

長瀬「「勝手に下の名前で呼ぶな」って言われた…」

プリモ「独占欲入りましたー!」

ピアノ「早くもフラグ!?友達以上フラグ!?」

マカポー「ヤリニクイ…」

青木「そんなに怖いの?」

長瀬「眼ヂカラがすごい。死ぬかと思った」

マカポー「お兄さんは目からビームでも出るノカ」

長瀬「精神的にはそんな感じ…」

長瀬は食べかけのカルボナーラを一気喰いした。

まるで先ほどの恐怖を忘れようとするかのように。

完「…下の名前で呼ぶにあたって、他意はないんだね?」

了「だと思う」

鈴「それに私、その名前のヒロインとは性格も雰囲気も違いますので…」

ロッソ「名前が同じだからというだけかと…」

完「長瀬くんに悪いことしちゃったかな…まあいいか」

了「いいんだ!?」

完「どうせ了と同い年か、そんなに離れてないんでしょ?」

了「そうだけど…」(これって一種のパワハラなんじゃ…?)

これを機に。

長瀬が情技室員に恐怖体験をクチコミで広め、

「柏木 鈴」は最終医研のとある男性外科医の「友人」として、

下の名前で呼ぶことが控えられるようになった。

鈴は鈴で、突然「カシワギサン」と呼ばれるようになって戸惑っていたが、

やがてそれも日常にとけ込んでゆく。

そして、鈴に「うさぎさん」と名付けられた完は

最終の友人たちに爆笑されるのだった。