某医療機関での日常

現代医科学恋愛ファンタジーというわけのわからないジャンルの創作文置き場。 小説というカタチを成していないので読むのにいろいろと不親切。たまにR18。 初めての方は「世界観・登場人物紹介」カテゴリを一読の上でお読みください。

鈴の引っ越し

(某県郊外 完の家の玄関)

鈴「おじゃまします…」

和「これからはただいまでいいのよ」

鈴「ただいま帰りました」

1月は最も引っ越しが少ない時期なので、

予算に余裕を持たせたかった鈴はこの時期に

完の家に引っ越してきた。

以外と少ない荷物を持って。

家財道具の大半は処分した。

大量にあった同人誌も大半は売り、

思い入れの強い物だけを残した。

完「服以外の荷物は了の部屋に置いてください」

鈴「服はどうするんですか?」

完「うーん…」

和「了の部屋でいいんじゃないの?

  下着だけ完の部屋に置けば…

  でもそれじゃ不便かしら

  完の部屋がもうちょっと広ければねえ」

完「とりあえず服は僕の部屋に置いてください。

  後のことは後で考えましょう」

鈴「はい」

(完の部屋)

鈴「やっぱり…ちょっと無理がありますかね…」

完「新しく洋服箪笥を買いましょう。

  問題はどこに置くかですが…

  そうだ、この学習机を処分してここに置きましょう」

鈴「ええ!?いいんですかそんなことして!?」

完「草餅さんがいれば一人で机に向かうこともなくなるでしょうし」

鈴「ということは…フヒヒ…」

完「昼間から不埒なことを考えていないでしょうね?」

鈴「ばれました…」

完「まったくもう、草餅さんは」

完がゆるく拳を握って軽く鈴のおでこにこつんとする。

完「めっ、ですよ」

そう言った完の顔はほんのり赤く色づいていた。

鈴(うさぎさんかわいいいいいいいいいいいい)

萌え死んでしまう鈴であった。

完「草餅さん?どうしました?草餅さん?…鈴さん?」

鈴「はっ、なんでもありませんなんでも!!」

へなへなと床に手をついていた鈴であった。

(某県郊外 マンション801号室)

了「へえ、柏木さん引っ越し済んだって?」

携帯電話で了が完と会話していた。

了「学習机処分するんだー、あれもう長いもんね」

完「かわりに草餅さんの洋服箪笥を置くんだ」

了「ああー、それでか」

完「ところで了、草餅さんの同人誌が思ったより

  少ないんだけど…」

了「ある程度処分したんじゃない?」

完「気の毒なことさせちゃったなあ…」

鈴「全部持ち込んだら中畑先生の部屋の床が抜けます!」

完「わっ」

了「そんなに大量にあったんだ…」

突然会話に割って入る鈴であった。

完「今から業者に頼んで机処分するから」

鈴も完も今日は休みを取っていた。

了「うん。わかった。じゃあまたね~」

完「またね」

完は携帯電話を操作して通話を切った。

完「そんなにあったんですか鈴さんの同人誌」

鈴「量の管理人さんに注意されたことがあります…

  床が抜けそうだからどうにかしてくれと…」

完「そんなことまで口出ししてくるんですかあの寮は」

鈴「実際床が抜けたら死活問題ですから…

  それも同人誌で…」

しゅん、と首をうなだれる鈴であった。

鈴「でも、どうでもいいのに買っちゃった物も

  多くありましたし、思い入れの強い物だけ残って

  すっきりしました」

完「同人誌ってどうでもいいのに買う物なんですか?」

鈴「表紙と内容が違ったりすることもあります」

完「詐欺じゃないですか」

鈴「表紙詐欺ですよう…私の好きなキャラが表紙にいたから

  買ったのにそのキャラだけいなかったりとか…」

完「訴えて勝てますよそれ」

鈴「もともと二次創作自体がグレーなので訴えたりは

  しませんがけっこう悲しかったです…」

完「僕なら作者に抗議しますけどね」

鈴「事を荒立てたくないので…」

完「草餅さんは優しいんですね」

鈴「いえ、単なる自己保身です」

苦笑する鈴。

その頃、情技と最終で打ち合わせがあった。

完と鈴の勤務時間帯を同じにするという計画が

持ち上がっていたのだった。

医療機関礼英 情技第1談話室)

如月「あれですね、これで最終と情技がもっと仲良く

   なるといいですね」

卯月「そうだねえ、また合コンでもすればいいと思うよ」

如月「どうも最終の医師は最終の看護師にあまり

   興味がないみたいですし…」

卯月「紺野さん以外はどうでもいい感じだねえ

   その紺野さんも柏崎先生と結婚しちゃうし

   諦めて情技の看護師と結婚すればいいのに」

如月「そううまくいけばいいんですけどねえ…」

(翌日 医療機関礼英 最終医科学研究所内 廊下)

卯月「やあ中畑先生、ご婚約おめでとうございます」

完「ありがとうございます」

卯月「ふたりで一緒に通勤できるように、

   勤務時間帯一緒にしておいたから」

完「本当ですか?それは助かります」

卯月「もっと感動して見せてよ~~」

完「ええと…本当にありがとうございます」

医療機関礼英 情報技術開発室 廊下)

如月「やあ柏木さん、ご婚約おめでとう」

鈴「ありがとうございます」

如月「最終の中畑先生と勤務時間帯一緒にしておいたから」

鈴「ええ!?本当ですか!?いいんですかそんなことして」

如月「医師も看護師もいっぱいいるんだから大丈夫だよ」

鈴「ありがとうございます!」

如月「最終の中畑先生の車でここまで通いなよ」

鈴「そうさせていただけると嬉しいです」

如月「きっと喜んで運転手買って出ると思うよ」

鈴「そうでしょうか…」

如月「帰ったら相談してみたら?」

鈴「そうします」

如月と鈴が別れた後、ロッソが鈴に寄ってきた。

ロッソ「ね?私の言った通りだったでそ?」

鈴「ロッソ大当たりー!勤務時間同じになったよー!」

ロッソ「礼英ならこのくらい当然」

当然、柏崎と雪の勤務時間帯も同じになっているのだった。

ロッソ「ね、いつ子供作るの?男の子がいい?女の子がいい?」

鈴「まだしばらく子供は考えてないけど、

  男の子と女の子一人ずつがいいなあ…」

ロッソ「これからはヤり放題だね!」

鈴「ちょっと!誰かに聞かれたら…」

青木「草餅さん、バイブどこにあるかしらない?」

鈴「きゃああああ!!!!」

青木「うわああ!!どったの!?」

ロッソ「青木先生が急に話しかけるから驚いたんじゃないすか」

青木「ごめんごめん、欲求不満の患者さんがいてさ、

   バイブ欲しいって言うんだ、どこにしまってあるんだっけ?」

鈴「こちらです」

鈴は青木をナースセンターにある棚に案内した。

青木「でかいのがイイって言ってたな…」

マカポー「コレなんかイイんじゃナイカ?パールも入ってるゾ」

青木「うわでかっ!!外人かよ!?もうちょっと小さめのも

   念のために持っていこう」

情技での日常は、鈴が引っ越しても変わりなく流れていく。

最終でもそれは変わりない。

医療機関礼英 最終医科学研究所 廊下)

二宮「よー中畑、草餅さん引っ越してきてヤりたい放題だって?」

完「最後のは余計だよ、無事に引っ越しは済んだけど」

二宮「いいなー、どうせ勤務時間帯も一緒なんだろ?」

完「どうして知ってるの?」

二宮「柏崎がそうなったばっかりだからな」

完「ああ、なるほど」

二宮「あーいいなーセックスしてぇー」

完「二宮もいい加減相手見つけたら?

  二宮だったらよりどりみどりでしょ?」

二宮「オレも情技の女と結婚しよっかなー

   オタク趣味にはそこそこ理解あるつもりだし」

矢野「中畑婚約おめでとー」

完「ありがとう矢野」

矢野「オレにも将来を誓い合った彼女がいたんだけどさ…

   いろいろあって振ったんだよ…

   中畑は草餅さんのこと捨てたりすんなよな?」

完「そんなことしないよ、もしそんなことしたら

  この先一生出会いがないよ」

二宮「いやわかんないぜ、中畑ってけっこう情技の女の間で

   人気あるって噂きいたぞ」

矢野「なにそれ初めて聞いた」

完「僕も」

二宮「自覚なかったのかよ?罪だな~」

完「そういえば柏崎は?」

矢野「紺野さんとドイツ」

二宮「もう紺野さんじゃなくなるんだよな…」

矢野「嫌だあ~紺野さんのこと柏崎さんって呼ぶの嫌だあ~~」

二宮「あーオレも。紺野さんで慣れちゃってるしなあ」

完「僕も…」

礼英の平和な日常は続いていくのだった。