某医療機関での日常

現代医科学恋愛ファンタジーというわけのわからないジャンルの創作文置き場。 小説というカタチを成していないので読むのにいろいろと不親切。たまにR18。 初めての方は「世界観・登場人物紹介」カテゴリを一読の上でお読みください。

デートの後遺症

完「ただいま…」

(某県 中畑家 玄関)

和「おかえりなさい!どうだったの?」

完「……………」

完が何も言わないので、和は不安になった。

  

和「なにか悪いことでもあったの?」

完「ううん…いいことしかなかった…」

完はまだ放心していた。

家まで帰り着いたのが不思議なくらいである。

和「まあvvよかったわねえ~」

完「うん……ねえお母さん」

和「なに?」

完「ええと……なんでもない」

和「気になるじゃないの」

完は頬にキスをされた事実を伝えるかどうか迷った。

そして、悶々としながら床についた。

完(キス…されちゃった…)

左頬に手をあててみる。

完(キスされちゃったんだ…)

完は事実を反芻していた。

幸せ色に染まった自室で、ひとり。

そして闘魂を燃やす。

完(僕も不意打ちしてやる!)

それは無謀というモノだった。

(某県 礼英職員寮)

鈴(キスしちゃったキスしちゃった!!)

鈴はベッドの上で枕を抱き、ごろごろ転がっていた。

鈴(キスしちゃったキスしちゃった!!)

そのうちベッドから落ちた。

鈴(キスしちゃったぁ~)

ベッドから落ちても幸せ色だった。

鈴(それにしてもうさぎさん萌える!)

鈴は今日一日のデートを反芻してみた。

そして思い出した。

鈴(…あのBL本、どうなったんだろう…)

(某県 中畑家 2F 完の自室)

完(落ち着かないから本でも読もう…)

今日買ってきた

「オレの花婿さん☆」を手にとる。

完(………意味がわからない……)

あまりにも非現実すぎて完は頭をかかえた。

完(情技の人たちはこんなの平気で読んでるのか…)

そして濡れ場。

完(いや…ないない…)

完はごく平然とツッコミを入れる。

そのころにはキスの余韻もすっかり冷めていた。

完(肛門にそう簡単に男性器は入らないよ…

  しかもこんなに大きいの無理だよ…)

完は本をそっと床に置いた。

完(うーん…ついていけないどうしよう…)

完は宿題が終わらない小学生のように悩んだ。

翌日。

完「行ってきます」

和「行ってらっしゃい☆」

ごく普通に挨拶をかわし、家を出ていく。

完(今日は第一食堂で食べようかな…)

少しでもデートの後遺症をやわらげようと思うのだった。

(国際医療福祉機関礼英 情技ナースステーション)

ロッソ「で?どうだったのさ昨日」

鈴「えへへへへへへへへへ…」

ピアノ「何があった!」

プリモ「聞かせろ!!」

鈴「えへへうふふ…うさぎさん萌え~…うふふ…」

ロッソ「ダメだ、話にならん」

了「すいませーん柏木さん、この前基礎データとった人のカルテある?」

鈴「えひゃ!?はい!!」

なんとか仕事はするのだった。

了「なんか、大丈夫?」

鈴「大丈夫です!」

了「兄さん、失礼なこと言わなかった?」

鈴「とんでもない!全然そんなことありませんでしたよ」

了「よかった~…あ、今日は兄さん第一食堂だって」

鈴「はいっ」

鈴は元気よく返事をする。

了(何かいいことあったのかな…よかった)

(昼休み 国際医療福祉機関礼英 第一食堂)

二宮「おい中畑大丈夫か?」

完「何が?」

矢野「カルテ取り違えるとか前代未聞だぞ」

完「み、見てたの?」

二宮「いや、マウスから聞いた」

柏崎は出張中である。

完「べっ、別に…なんでもないよ」

二宮「そうかぁ~?」

矢野「明らかに何かあったツラだぞ」

完「そんなに変?僕の顔…」

二宮「顔はともかく、上の空すぎるだろ」

矢野「そんなんで最終でやっていけるのかよ」

完「あうう…」

完は頭をかかえた。

二宮「まさか昨日のデートお陀仏だったんじゃないだろうな」

矢野「デートだと?聞き捨てならんな」

完「お陀仏じゃないし、矢野が気にすることでもないよ」

二宮「おっ、じゃあイイトコまでいったとか?」

矢野「ドコまでいったんだよ、え?」

完「カーニバルビルだけど」

二宮「そのドコじゃねえよ馬鹿ったれ」

二宮が完のカレーの肉を箸でつまんでそのまま自分の口へ放り込む。

完「僕のカレー…」

二宮「キスくらいはしたんだろ?」

完「……………」

完は真っ赤になってしまった!

矢野「っくー!この反応やべぇなww」

二宮「クセになりそうこれ。柏崎いたら絶対抱きしめてるな」

完「やめてよ…食事がまずくなるでしょ」

完は事務的にカレーを口に運んでいる。

龍崎「こ~んにっちわ~☆なっかはったせ・ん・せ☆」

二宮・矢野(で、でた~~~www)

完「…なんですか第一食堂くんだりまで」

龍崎「ちゃんとお仕事してる~?」

完「問題ありません」

二宮「ありますよ。こいつカルテ取り違えて

   あわててナース室に取りに戻ったんですから」

龍崎「あらあら…困るなあ~最終の先生がそんなんじゃ」

龍崎はプレートを完の向かいの席に置いた。

完「ここで食べる気ですか?」

龍崎「そうだよ、悪い?」

完「はい。他の場所で食べることをおすすめします」

矢野「こいつリア充満喫してるんで」

二宮「水さしてやってくださいよ。ヤカンですよマジで」

完「うるさいよ…」

龍崎「ヤカンね~…」

龍崎は完の額に手をあててみた。

完「何をなさるんですか」

龍崎「熱はないみたいだけど」

二宮「デートの翌日に熱出して寝込んでたらオレがはり倒しますよw」

龍崎「デートいいなぁデート」

矢野「機関長www」

完は自分のペースを乱されまくっていた。

結局、完も鈴も日々の仕事を無事に終えて、帰途につく。

かわりない日常。

しかし、刻一刻と日々はすぎていく。

9月末の「連休」まで、そうそうかからない。

完(2人きりで旅行…不意打ちするんだ不意打ち…)

鈴(うさぎさんうさぎさんうさぎさんうさg)

それぞれの想い(?)を胸に、その日まで。

待ち遠しい日々を暮らすのであった。