某医療機関での日常

現代医科学恋愛ファンタジーというわけのわからないジャンルの創作文置き場。 小説というカタチを成していないので読むのにいろいろと不親切。たまにR18。 初めての方は「世界観・登場人物紹介」カテゴリを一読の上でお読みください。

初めてのデート パート1

完(こんなんで大丈夫なのかなあ…)

9月に入ったばかりの休日。

礼英に向けてハイブリッド車を走らせる完は

サマースーツで身を固めていた。

完(休日なのに…?)

しかし、着ていく服が思いつかなかったのだ。

これでも弟の妻…一応「妹」にアドバイスを受けたのだが、

優「迷ったらスーツ!」

と自信満々で言われたのだ。

受話器の向こうから「それは嫁の好みだろww」など聞こえたが、

「女性」の好みであることに違いはないのだろう。

無難といえば無難だが、完にとってスーツは通勤着だ。

完(失礼にあたらないのかな…)

と、主観をめぐらせていたのだった。

医療機関礼英 職員寮 ロビー)

ソファには、可憐な女性がひとり座っていた。

出勤時間帯を過ぎたロビーは静まり返っていて、

いつもとは違う空気を感じさせた。

鈴(こんなんでいいのかなあ……)

鈴もまた、完と同じことを思っていたのである。

しかし、鈴は看護士服を着ているわけではない。

ノーメイクでもない。眼鏡でもない。

その上、ロッソに見立ててもらった私服を着ていた。

膝上丈のワンピース。

鎖骨から手首にかけて黒いレースの袖があしらわれ、

胸から下は淡いベージュのプリーツ。

エストラインにはレースのリボン。

そして、その下は…

鈴(この年で生足とか…無茶だよ…)

生足なのである。

鈴(ミニスカじゃないだけマシかな…)

足元は、華奢なミュール。

ナースサンダルに慣れた足では少々歩きづらい。

鈴(コケそう…)

そんなことを考えていた待ち合わせ時刻の5分前。

ガラスの自動ドアの外に、黒い乗用車が現れた。

鈴(そういえばうさぎさんはどんな………え!?)

停車し、ハザードランプを点滅させている乗用車から

出てきたのは間違いなく待ち合わせの相手だったが

鈴(スーツ!!スーツ!!スーツだ!やったー!!)

間違いは、なかったのである。

問題は、完のほうだった。

完はソファに座ったまま心躍っている鈴に気づかず素通りした。

鈴「あっ、あの!あのっ…!」

完「?」

振り向いた完が見たのは、いつもの鈴ではなかった。

街を歩けばどこにでもいるような……

完「…その……どちらさまで……」

鈴「か…柏木です……」

完「すみません…一応訊いてみただけです…」

その割には、目の前を素通りしたのだった。

完(僕は馬鹿か…外に出るのに草餅さんが看護士服のはずないじゃないか…)

職場での姿を見慣れすぎた。

完の頭の中には、看護士服でノーメイクの鈴しかいない。

しかし、鈴の場合は違った。

鈴(妄想してたのよりずっとかっこいい!!)

鈴は完のスーツ姿を普段から妄想していたのである。

完「…とりあえずここを出ましょう」

鈴「はいっ」

ふたりは外に停められたハイブリッド車に乗り込んだ。

(某県 国道 完の車内)

車内には涼しい微風が満ちている。

控えめな音量でラジオがかかっていた。

鈴(し…静かすぎる…)

電力運転のため、エンジンの駆動音がしない。

完「すみません、こんな格好で来てしまって」

鈴「えっ?」

走行中。

フロントガラスから目をそらさないままで完が言う。

鈴から見るその横顔は、さほど表情の崩れもない。

完「何を着たら良いか迷って、優ちゃんに相談したらこうなりました」

鈴「さすが優さん!」

完「え?」

赤信号で停車した完は、耳を疑った。

鈴「え?いえその、とてもよくお似合いでっ!////」

完「そう…ですか」

完(スーツって誰にでも似合うように出来てるし…)

軽く自虐的な完だった。

というのも、助手席に座っている鈴が華やかすぎるからだ。

信号が青に変わり、車は静かに走り出す。

鈴「わ…私も着ていく服に迷って…」

完「とてもよく似合っています」

鈴「え…////」

完「似合いすぎて別人かと思いました」

鈴「そ、それは…どういう…似合いかたですか…」

完「看護士服で眼鏡の草餅さんしか見たことがないので」

鈴「わ、私も白衣のうさぎさんしか」

お互い様である。

鈴「でも…でもっ…」

完「はい?」

完が運転中で前方を注視しているのをいいことに、

鈴「スーツのうさぎさん、素敵です…」

鈴は思い切ったことを言うのだった。

完「…………父も浮かばれます」

鈴「え?」

完「これは父が着ていた物を仕立て直した物ですから」

鈴「あ……」

完と了の父、中畑 一は情技で亡くなった。

そのことは鈴も知っている。

鈴(お父さんの…形見…なのかな…)

鈴はあらためて完のスーツをよく見てみた。

完はきちんとスーツにおさまっていた。

というより、スーツが完に寸分違わず従っているのだ。

完「…すみません」

鈴「はっ、はい!」

完「このあたりだと聞いてはいますが、正確な場所がわからなくて…」

車は某県市街地に到着していた。

鈴(し、知ってるって思われたくないよぉ…)

鈴は葛藤していた。

以前、交際していた相手には自分の趣味は明かしていなかった。

羞恥心からのためらいがあったからだ。

完「情技の人なら誰でも知っていると弟が…」

鈴「あっ、はい!知ってます!次の信号を左です!」

完「えっ?あの路地ですか…?」

鈴「わかりにくい場所にあるんです」

鈴(私、情技のヒトだもん!それだけ、それだけ…)

完「こんな所、通ったことがな…」

鈴「あの交差点を右へ…」

完「はい…」

すでに市街地の大通りをそれて、入り組んだ路地。

完(長年住んでるけど、車でここまで入ったことはないなあ…)

狭い道路は当然のように一方通行だ。

鈴「そこの立体駐車場に停めてください…」

完「どこですか?」

鈴「えっ」

とうとう目的地についてしまうのか、と思いながら

うつむいていた鈴は前方不注意だった。

いつもの立体駐車場の前には

「点検中 ご迷惑をおかけしております」

 

という大きな看板が立てられていた。

鈴(だ☆い☆迷惑!)

鈴は歌いたくなった。

完「この近くですよね?」

鈴「は…はい…」

完「適当に停めましょう」

完は立体駐車場の向かい側のコインパーキングに車を寄せた。

鈴「すみません…」

完「いえ…それより、ちょっと教えてほしいことが」

鈴「え?」

完「あの障害物は踏み越えて良いのですか?」

鈴「障害物…?」

完「駐車場を横切るように、何か置いてあるのですが」

鈴「あ、はい、そのまま…」

完「……」

完は若干不安そうにしている。

鈴(なんでこういう時に限って誰も停めてないの!?)

なぜかガラ空きだったので、例示がないのだ。

鈴「えっと…車高を低くする改造とか…してなければ車が傷つくようなことはないので…」

完「アレは…何ですか?」

鈴「と、停めれば…わかります…」

完「そうですか…」

完(いったいなんだろう…)

鈴(うさぎさんの、初コインパーキング…)

完は左で何やらにこにこしている鈴をよそに、

そろそろと駐車スペースに車を入れてゆく。

平たい「障害物」をゆっくりと踏み越え、

完の車は駐車スペースに収まった。

完「…………」

外は暑い。

完は車のエンジンを切らずに、隣の駐車場を見ていた。

正確には、そこに置かれた「障害物」を見ていた。

完「…すみません、停めてもよくわからないのですが」

鈴「…あっ!と、停めて、車から降りないと」

完「え?」

完は首をかしげながら車のエンジンを切り、

ドアを開けて外へ出た。

すぐに足元の「障害物」に目を向ける。

完「…僕の車が罠にかかりました」

駐車ガードが上がっただけである。

鈴(罠wwwwwワwwwナwwwww)

鈴は必死で笑いをこらえていた。

完「こういう仕組みで、無人で運営しているんですね」

鈴「そ…そう、なん…です……っ」

完「…?…草餅さん…?…暑いので早くビルに入りましょう」

鈴「はい……こちらです……」

完「………??」

さほど大きくない雑居ビルの壁面には

数多くの電光看板が並んでいたが、

完は一つとして見覚えがなかった。

・アニ☆まにあっくす

・コミック沙羅曼陀羅

・すいかぶっくす

・古着屋かむひあ

・プリクラ シューティングスター

・パープルサブマリン

・DOLL B・O・X

・コス♪ちゃーむ

・ゆあめいど おかえりなさいっ☆

完(ど…どうすればいいんだろう…)

鈴(うわっ、うさぎさん戸惑ってる…!)

完「あの…いったい何があるんですか…ここ…」

ビルの正面入り口で完は固まっていた。

しかし、その横を女性客が数人通り抜け、

気安くビルへと入ってゆく。

完「…女性だけで入っても大丈夫なんですね」

肩の力を抜いた完は、ビル内へ進む。

鈴はそれにあわてて続いた。

鈴(うさぎさん…警戒するとこソコじゃないです…)

(某県市街地 カーニバルビル 1階)

完「なんですかこれ」

大きく「美顔ラボラトリィ」と書かれたプリクラ機である。

鈴「え、あの…写真を撮ってシールにしてくれるんです…」

鈴(ここから説明が必要だったんだ…!?)

完は「美顔ラボラトリィ」の周りをゆっくりと見回っている。

そのうち、するりと中へ入ってしまった。

鈴「あ!!」

女性客「きゃああ!!」

完「!? すっ、すみませんっ!!」

あわてて出てきた完は、「美顔ラボラトリィ」から

少なくとも2メートルは距離を置いた。

完「女性専用だなんて知らなくて…」

鈴「ち、違います!ただ使用中だっただけです!」

完「えっ」

鈴「と、とりあえず2階いきましょう!」

さきほどの女性客に追われる前に

エスカレーターで2階へ逃げる二人だった。

(某県市街地 カーニバルビル 2階)

完「アニメまるごと!アニ☆まにあっくす…?」

鈴「よ、読まなくていいです…」

完「うわっ、目が大きいです」

鈴「え?」

完「この人コンタクトレンズ特注ですよ」

アニメの美少女キャラの等身大パネルだった。

鈴「あ、そのキャラは裸眼で…」

完「そんなはずはありません。瞳が紫色です」

鈴「そ…その…もとから、そうなんです…」

完「病気ですか?髪も真っ白だし…若そうなのに…」

完は元気いっぱいな等身大パネル

重病患者を見る目で見ている。

そして、そのパネルは店の入り口にある。

鈴「あ、あの…ちょっとお店に入ってもいいですか…?」

完「あ、はい…」

完は鈴とともに店内へ入ると

完「ほぼ全員校則違反ですね」

学園モノのアニメのポスターを見て、言い放った。

鈴(どうしよう…この人どうやって止めたらいいの…!)

鈴が困惑している間に、完は店内をきょろきょろと歩き回っている。

鈴(目を離さないようにしなきゃ…)

鈴は鈴で、この店でいくつか買いたい物があったのだが、

そんな物は吹っ飛んでしまった。

鈴「そっちはダメです!」

完「え?」

鈴が完のスーツの裾をつまんで引き留めた。

完「…地雷源でもあるんですか?」

鈴「…ある意味では、そうです」

完「え!?」

鈴「怪我はしませんが…」

完「なら別に…」

鈴「せ、精神的に怪我をするかも…!!」

完「そちらは一応専門ですから」

鈴(そういえばそうだった!)

完は精神科医でもある。

引き留める術を失った鈴は、

完のジャケットの裾をつまんだままついて行く。

完「……………?」

完が、平積みにされた本の表紙を眺めている。

完「…お前の…天の岩戸が丸見え…だぜ…?」

鈴「読まなくていいです!読んじゃダメです!」

完「え?読んだら駄目なコトを帯に書くんですか?」

いわゆるボーイズラブ系のコーナーである。

完「天の岩戸は確か…天照大神が隠れた、岩の洞窟です」

鈴「…岩なんですね」

完「岩です。天照大神はその中に隠れていましたが、確かに天の岩戸自体は隠れてはいませんでした」

鈴「なるほど…」

完はその帯のかかった本を手に取った。

完「でも、妙ですね」

鈴「な…何がですか」

完「天照大神は古来より女性と言われているはずです」

鈴「えっ、そうだったんですか」

完「ですが、これはどう見ても男性ですよね」

鈴「そ…、その人天照大神じゃないんですよきっと…」

鈴は完の手前、苦し紛れを言ってみた。

実際、その本の内容も知らない。

完「そうですよね」

鈴「えっ」

完「天の岩戸は丸見えでも、本人は中にいるのでしょう」

鈴「………はい………」

完「で、この人は天照大神を呼び戻すために珍妙な踊りをさせられているのですね」

鈴「えっ」

表紙の人物は、俗に言う「M字開脚」で

股間がちょうど帯で隠れるデザインになっている。

完「太陽の神が引きこもったとはいえ…大変ですねこの人…」

鈴「そ…そ…そうですね……」

鈴(大変なのはうさぎさんの思考回路です!!)

完「かわいそうだから買っていこうかな…」

鈴「わっ、私が!私が買います!」

完「草餅さんも買うんですか?」

鈴「いえ、あの、うさぎさんは買わないほうが」

完「そちらの室長に、刺激に対する免疫はつけておけと言われまして」

鈴「え…」

完「こういう…表紙と帯だけでは内容がわからないような本は買ったことがないので」

完は本を裏返し、裏表紙の解説を目で追い始めた。

完(「僕は日本史の研究をしていただけなのに、どうしてこんなことに…あいつが来るなら僕はひきこもる!」 あれ? 神様のお話じゃないのかなこれ)

鈴「うっ、うさぎさん!」

完「はい」

鈴「か…買うんですか」

完「そうですね。裏表紙を見たら余計に内容がわからなくなったので」

鈴「え?」

完「草餅さんは、他に何かお買い物ですか?」

鈴「あの、その、表紙…持っていくの恥ずかしくないですか…?」

完「バーコードは裏表紙にありますから、裏を向けます」

鈴(鈴は逃げ出した!しかし回りこまれてしまった!)

完「花嫁が花婿だった。まあいいや☆……は?」

完はまた別の本の帯を読み上げていた。

完「いや、まあいいや、じゃないでしょう普通…」

完は本を手に取ろうとしたが、鈴が遮った。

鈴「うさぎさんっ、私っ、パープルサブマリンに行きたいですっ!」

完「パープルサブマリン?」

鈴「この上の階のフィギュア屋さんです」

完「はい。とりあえずこの本だけ買ってから…」

鈴(どうしてそんなにこだわりますか…!!)

完「あの、草餅さん?」

鈴「あのですね、ぶっちゃけて言うとここらへんに置いてある本はもれなく男同士の性的描写が含まれておりまして、なおかつうさぎさんが持っている本の作者は描写が過激なことで有名なんです。それでも買うんですか?」

鈴は完全に目が据わっていた。

完「……………………」

完は持っていた本をそっと元の位置に戻した。

完「草餅さんに嫌われたくないので…買いません…」

鈴(なんか変だよこのデート!!)

鈴「わっ、私とか情技の人たちは平気で読んでますけど」

完「え?じゃあ買います」

鈴「いえあの、うさぎさんはまずこのあたりから入ったほうが…」

完「この…花嫁が花婿だった理不尽な本ですか」

鈴「状況は理不尽ですけど、描写はそんなにどぎつくないので…」

完「そうですか。詳しいですね」

鈴「じょ、情技では常識です」

オチをつけたところで、レジへ向かう二人だった。

(某県市街地 カーニバルビル 3階)

完「なんですかこれ」

鈴「ねんどっぽいどのフィギュアです」

完「年齢はみんな1~2歳ですか」

鈴「いっいえ、元はほら、こういう頭身なんです」

パープルサブマリンのガラスケースには

低頭身の「ねんどっぽいど」が上段に、

その下に同じキャラクターの本来の頭身のフィギュアが

飾られていたのだが。

完「この人、骨格がおかしいですね」

鈴「…」

完「この女の子、骨粗鬆症で近々大けがを…」

鈴「しません!その子は二次元のバーチャルアイドルなのでそもそも肉体が存在しません!電子の妖精なんです!」

完「電子の妖精…ですか…」

鈴(あれ?納得するのが早い…)

完「情技の技術はこうして擬人化までされていたんですか」

鈴「いやっwwwちがっwwww」

完「え?」

鈴「えっと…イミテーションボーカリストといいまして…声優さんの声を音源にして歌を歌わせるソフトがあるんです」

完「歌を…だからこの人たちはみんなマイクを持っているんですね」

鈴「はい。略してイテボです」

完「なんだか痛そうですが大丈夫なんですか?」

鈴「大丈夫だ、問題な…いです」

完「そうですか……」

完(僕もそのソフトを使えば、音痴じゃなくなるのかな?)

鈴「…どうかしました?」

完「なんだかこの赤い服の女の人がどうも…優ちゃんに雰囲気が似ています」

鈴「…そういえば…」

完「弟におみやげに買って行こうかな…」

鈴(どんなおみやげですか!?)

完「…あ」

ガラスケースの最下段。

そこには、ひとつの「世界」が確立していた。

天界の神々と地底の魔王軍が夕日を背に戦争をしている。

描写はリアルで、西洋の宗教画を思い起こさせた。

鈴「すごいですね…これ…」

完「うーん…どうも全体で一点物のようです」

鈴「…売約済み…ですか……」

完「もう少し早くここに来ていれば買えたのかな…」

鈴「え!?」

鈴(値段、書いてません!)

完「…でも、これを部屋に飾ったら部屋が負けそうです。部屋の世界観もコレに合わせないと」

鈴「え」

完「……大規模な模様替えが必要に…」

鈴「ほ、本当にこんな部屋にするんですか…?」

完「…ちょっと落ち着きませんね…」

鈴「で、ですよね」

完「どんな人が買ったんでしょうね…」

完はそこを通り過ぎて、

完「草餅さんは、何かお買い物ですか?」

鈴「私はこのねんどっぽいど01を…」

完「僕はこの…イテボさんを…で、どこにあるんでしょうか」

鈴「こちらです」

鈴はガラスケースを通り過ぎて、陳列コーナーに来た。

完「箱…大きいですね…」

完は赤い「イテボフィギュア」の箱を手にとっていた。

鈴「箱から出さずにそのまま飾る人もいますね」

完「うーん…」

鈴(うわ、7480円…)

鈴が買おうとしているフィギュアは2400円だ。

完がひとつ買う値段で、鈴は同じ物を3つ買える。

完「とりあえずひとつだけ買います。草餅さん、それ貸してください」

鈴「えっ」

完「今日の…草餅さんへのおみやげにします」

鈴「えっ…え…/////」

完「あれ?こっちのほうが高い…」

鈴(当たり前です)

完「弟にこれを買っていって、草餅さんがそれでは僕が弟に叱られますので」

鈴「叱りませんよ大丈夫ですよ!」

完「でも、僕の気が済みませんので」

鈴「あっ、じゃあうさぎさんもねんどっぽいどにしましょう!」

完「コレですか…」

鈴(どうして難しい顔を…)

完「草餅さん、ちょっと」

鈴「え?」

完は鈴にそっと耳打ちする。

完「この人、腕が短すぎて大便のあとトイレットペーパーで拭けませんよね…」

鈴(夢も希望もない耳打ち!!泣きたい!!!)

その後、完は困ったような顔で向き直り

完「そういうわけでこちらを選びました」

鈴「だ…大丈夫です。普通…そこまで考えません」

完「す…すみません…弟から突っ込みを食らうのは避けたかったので…」

鈴(初めてのデートが…初めての耳打ちが…orz)

(つづく)